相続人に行方不明者がいる場合どうしたら良い?

相続人に行方不明者がいる場合に相続手続きを進める方法

相続人に行方不明者がいる

原則として、そのままではいつまで経っても相続手続きを進められません

亡くなった方が遺言書を残しておられる場合、遺言書の内容に従って相続手続きを進めれば良いので、相続手続きのために「遺産分割協議」を行う必要はありません。

しかし、亡くなった方が遺言書を残していない場合、相続手続きのために遺産分割協議を行う必要があります。

遺産分割協議は相続人全員が参加して行ったうえ、相続人全員が同意をしなければいけません。
この遺産分割協議の結果を「遺産分割協議書」にして、相続人全員が実印(印鑑登録してある印鑑)を押印し、相続人全員の印鑑登録証明書を添えなければ、相続手続きを進めることはできません。

参考記事⇒「相続手続きはどのように進めたら良いか」

相続人に行方不明者がいると遺産分割協議ができない

3つの手順を踏むことで、相続人の中に行方不明者がいても相続手続きを進めることができます

原則どおりですと、相続人の中に行方不明者がいる場合には遺産分割協議ができませんから、いつまで経っても相続手続きを進めることはできないということになります。
それでは、行方不明者が見つかるまで相続手続きが進められないということでしょうか。

ご安心ください。
そんなことはありません。
大まかに言って3つの手順を踏むことで、相続手続きを進めることができます。

  1. 相続人の中に行方不明者がいる場合、利害関係人から家庭裁判所に対して、行方不明者のために「財産管理人」を選任するよう請求します。
  2. その請求に基づいて家庭裁判所が「財産管理人」を選任してくれます。
  3. 家庭裁判所から「財産管理人が遺産分割協議に参加しても良い。」という許可をもらいます。
    そうすると、この財産管理人が行方不明者に代わって遺産分割協議に参加することができます。

あとは遺産分割協議を行って、相続手続きを進めれば良いのです。
この3つの手順の流れを以下に詳しく記します。

相続人に行方不明者がいる場合の解決方法

1.家庭裁判所に行方不明者のための財産管理人選任を請求する

【請求することができる人】
相続人などに利害関係人です。

【請求先】
行方不明者が、行方不明となる前に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所です。

【請求するための費用】
収入印紙800円分です。

【請求に必要な書類】
① 申立書(家庭裁判所の様式)
② 行方不明者の戸籍謄本
③ 行方不明者の戸籍の附票
④ 行方不明となっていることを証明する資料
⑤ 行方不明者の財産関係の資料(預貯金などの残高証明書、不動産の登記事項証明書など)
⑥ 請求を行う人の利害関係を証明するための資料(戸籍謄本など)

2.家庭裁判所による財産管理人の選任

家庭裁判所では、行方不明者のための財産管理人選任の請求を受けると、まず上記の書類を確認します。
そして、行方不明者の親族などに話しを聞くなどして事実関係を調査します。

同時に、財産管理人となる候補者に対して、行方不明者の財産管理をするのにふさわしい人物であるかどうかの審問を行います。
候補者は、請求する際に家庭裁判所に伝えることができます。

こうした調査や審問を経て、財産管理人が選任されます。

なお、財産管理人になるために特別な資格等は必要ありません。
とはいっても財産を管理する人ですから、適切な人物である事が必要です。
遺産分割協議を視野に入れる場合、相続人が適切ではないことは言うまでもありません。

3.家庭裁判所から、行方不明者に代わって財産管理人が遺産分割協議に参加する許可を得る

実は、財産管理人は、選任されただけでは行方不明者に代わって遺産分割協議に参加することはできません。

なぜなら、財産管理人の主な権限は、「行方不明者の財産を保存すること」だからです。
遺産分割協議に参加するということは、この権限を大きく越えているのです。

そのため、財産管理人がこの権限を越えて遺産分割協議に参加するためには、家庭裁判所の許可が必要になるのです。
この点に注意が必要です。

相続人に行方不明者がいる・解決

財産管理人はどんな仕事をするのか

参考までに、財産管理人が何をするのかを記します。

家庭裁判所から選任され、遺産分割協議に参加して良いという許可を得た財産管理人は、行方不明者の代理人として遺産分割協議に参加し、遺産分割を成立させます。

なお、財産管理人は行方不明者の財産を保存することが役割ですから、行方不明者に不利になるような遺産分割はできません。
最低でも法定相続分は、行方不明者のために確保しなければなりません。

財産管理人の仕事は、遺産分割協議が成立したから終了、というわけにはいきません。
行方不明者が帰ってくるか、行方不明者の死亡が確認されるか、失踪宣告がなされるまで、財産管理人の仕事は続きます。

もし行方不明者が帰ってきたら、管理していた財産を行方不明だった者に引き渡します。
もし行方不明者について失踪宣告がなされたり、死亡が確認された場合には、管理していた財産を行方不明者の相続人に引き渡します。
それができて、ようやく財産管理人の仕事は終了します。

相続人に行方不明者がいた場合の財産管理人

相続人に行方不明者がいる場合には、遺言書を書いておきましょう!

このように、相続人の中に行方不明者がいる場合、相続手続きを進めるために大変な手間がかかります。
手間がかかったうえに、行方不明者のために相続財産を残しておかなければなりません。

ですから、もしご自身の相続人の中に行方不明になっている者がいる場合には、あらかじめ遺言書を書いておくことを強くお勧めします。

冒頭で申し上げたとおり、そもそも遺言書があれば遺産分割協議など行わなくても相続手続きを進めることができるからです。
相続手続きがスムーズに行えるということです。
遺言書は、相続人の中に行方不明者がいる場合にかなりの威力を発揮します!

遺言書のすすめ

相続・遺言書・老後のそなえ(成年後見)について詳しく知りたい方へ

⇒「相続」に関するコラム
⇒「遺言書」に関するコラム
⇒「老後のそなえ」に関するコラム

こんなお悩みやお困りごとを解決します!

⇒「相続手続き」を失敗したくない
⇒確実に実現される「遺言書」を作りたい
⇒老後の不安をなくしたい

slide2