行政書士・社会福祉士
宮澤優一事務所
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2026.10.30

私が任意後見契約を受任している方が、
軽い脳梗塞で入院されました。
先日、無事に退院し、
帰宅して在宅生活が再開することとなりました。
嬉しいことなのですが、
考えなければならないこともあります。
自動車の運転をどう考えるか。
退院後の生活を組み立てるうえで、
確認しておきたい
とても大きな課題です。
まず、
退院できることと、
安全に運転を再開できることは、
分けて考える必要があります。
厚生労働省の事業・研究の一環として作成され、
同省のサイトで公開されている
「脳卒中の治療と仕事の両立 お役立ちノート」
では、運転再開にあたり、
病状の安定や再発の危険、
運転に必要な認知・予測・判断・操作の能力を確認することが示されています。
麻痺などの身体機能だけでなく、
視野、
注意機能、
高次脳機能、
服薬の影響など
も確認の対象です。
主治医への相談、
必要に応じた運転能力の評価、
警察の安全運転相談へとつなぐ流れが紹介されています。
〔資料①〕https://www.mhlw.go.jp/content/000750637.pdf
つまり、
脳梗塞になったことだけで、
公安委員会への相談や届出が一律に義務となるわけではありません。
長野県警は、
脳卒中を安全運転相談の対象に挙げ、
免許取得後に心身の障害が生じた方へ相談を勧めています。
〔資料②〕https://www.pref.nagano.lg.jp/…/fuan/tekisei.html…
一方で、生活を支える私たちの立場としては、
軽症だったことや、
明確に運転を禁じられていないことだけを理由に、
従前どおりの運転を前提として退院後の生活を組み立てることは、
避けたいところです。
昨日、
脳梗塞で入院されていた方の退院に合わせ、
カンファレンスを行いました。
ご本人、ケアマネジャー、地域包括支援センター、福祉用具事業者、そして私と事務所スタッフが参加し、
これからの暮らしを話し合いました。
この方とは、
見守り契約のほか、将来に備えた財産管理等委任契約、任意後見契約、亡くなった後の事務をお引き受けする契約を結んでいます。
現在は見守り契約の段階で、
ご本人が生活についてご自身で判断・決定されています。
私は、ご本人に代わって生活を決定する立場ではなく、
ご本人の意向を伺い、
必要な情報や助言を届け、
支援者と一緒に生活を考える立場です。
今回、運転については、
退院の時点で明確に再開可能とも不可とも判断されていませんでした。
そこで、
私は、カンファレンスにおいて本人に対し、
安全運転相談の利用をお勧めするとともに、
運転の可否の確認と並行して、
運転を前提とした生活とならないよう、
他の支援者と共に検討しました。
ご本人の生命・身体を守ること。
そして、
他者の生命・身体・財産に危険が及ぶリスクを、
できる限り減らすこと。
その両方を大切にしながら、
通院や買い物、日々の家事をどう支えるか、
具体的に考えました。
介護保険で利用できる範囲のヘルパーによる支援。
介護タクシー。
その他の地域の資源。
それらを組み合わせ、
ご本人が自分で運転しなくても暮らせる生活を整える。
同時に、
必要な確認を経て安全に運転できる場合には、
必要なときにご自身で運転をすることを選べる余地も残す。
こうした方向について、
ご本人にも納得していただきました。
私は、この
「ほかの選択肢を用意すること」
が、運転の自由を支えるうえでも大切だと思っています。
通院も買い物も、
自分で運転する以外に方法がなければ、
体調に不安があっても、
ハンドルを握らざるを得なくなるかもしれません。
別の手段があれば、
「今日は運転を控えておこう」
と、ご自身で選びやすくなります。
長野県のように、
公共交通だけでは日々の用事を済ませにくい地域では、
自動車は暮らしを支える大切な手段です。
行きたい場所へ行ける。
人に会える。
自分で用事を済ませられる。
そこには、
ご本人の自立や楽しみ、
これまで大切にしてきた生活があります。
だからこそ、
年齢や病名だけで一律に結論を出すのではなく、
その方の運転が生活の中で持つ意味まで理解したいと思います。
一方で、
ご本人が望まれているからといって、
本人や周囲への重大な危険を見過ごすこともできません。
本人の意向、
心身の状況、
危険を減らす方法、
利用できる社会資源、
費用の負担、
家族や支援者の負担。
それらを関係する支援者と共有し、
チームとなって、
その方にとって最善と思える方法をケースごとに検討する。
状況が変われば、また一緒に考え直す。
行政書士・社会福祉士として、
私も私の事務所も、
そうした姿勢を大切にしています。
老いじたくは、
将来に暮らしが変わるときの選択肢を、
早めに用意しておくことでもあります。
だから、
運転に不安が生じたときには、
主治医や安全運転相談につながるとともに、
通院や買い物の別の方法も整理しておくと安心です。
ご本人の自由と、本人・周囲の安全。
その両方を支えながら、
その方の人生に寄り添い、
考え続ける伴走者でありたいと思っています。