行政書士・社会福祉士
宮澤優一事務所
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2026.10.07

前回の 「財産管理等委任契約」に続いて、
「任意後見契約」
のお話です。
本日も、
私は伊那公証役場へ。
任意後見契約などの公正証書作成と、 遺言公正証書の作成手続に立ち会ってきました。
松本を拠点にしていますが、 こうしたご依頼では伊那をはじめ、 長野県内各地の公証役場と連携して手続きを行っています。
では、
任意後見契約とは何でしょうか。
ひと言でいうと、
「将来、自分の判断する力が低下したとき、誰に、何を任せるのかを、元気なうちに自分で決めておく契約」
です。
たとえば将来、
銀行の手続きが難しくなった。
不動産の管理が難しくなった。 介護サービスの契約内容を理解することが難しくなった。 施設への入所契約を自分だけで行うことが難しくなった。
そんなときに備えて、
「この人に支えてもらいたい」
という人を自分で選び、 財産管理や生活・療養看護に関するどのような事務を任せるのかを、
あらかじめ決めておきます。
任意後見契約は、
公正証書で作成する必要があります。
そして大切なのは、
「契約したら、すぐに任意後見人になるわけではない」
ということです。
現行制度では、 本人の判断能力が不十分になった後、
家庭裁判所へ申し立て、 任意後見監督人が選任されて初めて契約の効力が生じます。
それまでは「任意後見受任者」。
効力が生じてから「任意後見人」となります。
任意後見人は、 本人から与えられた代理権の範囲で、
預貯金や不動産の管理、 年金の受取りや各種費用の支払い、 介護サービスや施設入所の契約など、
本人の財産管理や生活に必要な手続き等を行い、
本人を支援します。
ここで、 医療・福祉・行政の支援者にも知っておいていただきたいことがあります。
任意後見人は、
「何でも本人の代わりに決める人」
ではありません。
権限は、
契約で定めた代理権の範囲です。
そして、
法定後見とは違い、 本人が行った契約を当然に取り消す権限もありません。
また、 介護そのものや、掃除、買い物、送迎などの事実行為をすべて担う制度でもありません。
つまり任意後見人は、
本人の人生を決める人ではなく、
本人が望む生活を続けるために、 必要な契約や財産管理を法律面から支える人。
そう考えると分かりやすいと思います。
任意後見の大きなポイントは、
「誰に、自分の人生の大切な部分を託すのか」を、 自分で決められるうちに考えておくことです。
認知症になってから、
周りの人が決めるのではありません。
元気な今、
「私はこの人にお願いしたい」 「こんな暮らしを続けたい」 「ここまではお願いしたい」
と、自分で決めておく。
昨日まで履いていた小さなクックが、 気づけば履けなくなっているように、
私たちの暮らしも、 ずっと今のままではありません。
だからこそ、
自分で決められる“今”を使って、 未来の自分を支える仕組みを、
自分で作っておく。
それが、 任意後見契約という「老いじたく」です。