行政書士・社会福祉士
宮澤優一事務所
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ブログ
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2026.10.19

今日は、
「身寄りのない方と成年後見制度」
のお話です。
例えば、一人暮らしの高齢者。
認知症が進み、
預貯金の管理や必要な契約が難しくなってきました。
頼れる家族はいません。
こんなとき、
誰が成年後見制度の利用につなげるのでしょうか?
実は、
市町村長が家庭裁判所に成年後見等の申立てを行うことができます。
一般に「市町村長申立て」と呼ばれています。
では、
どのように進むのでしょうか。
最初に異変に気づくのは、
ケアマネジャーや民生委員、
医療機関、地域包括支援センターなど、
日頃から本人に関わっている方々であることが少なくありません。
例えば、
「通帳やお金の管理ができなくなってきた」
「必要な介護サービスの契約が難しい」
「支払いが滞り、生活に支障が出ている」
こうした状況を把握した支援者が、
地域包括支援センターや市町村の担当窓口などに相談します。
その後、
市町村では、
本人の状況や判断能力、
支援の必要性、
親族の状況などを確認します。
成年後見制度の利用が必要と判断されれば、
診断書や戸籍などの書類を準備し、
市町村長が家庭裁判所に申立てを行います。
そして、
家庭裁判所が審理し、
後見等の開始が認められれば、
成年後見人等が選任されるという流れです。
ただし……
実際には、
ここまでスムーズに進まないことも少なくありません。
私も日頃、
成年後見の実務や地域の権利擁護に関わる中で、
市町村長による申立ての事案を受けることがありますが、
その難しさを感じています。
例えば、
親族の所在や関係性が分からない。
親族はいても、
長年交流がなく、
協力を得られない。
本人の生活状況や財産の全体像が把握できない。
このような状況だと、
申立てに必要な情報を集めるだけでも、
相当な時間がかかります。
さらに、
行政にも担当業務があり、
複数の機関との調整が必要です。
その間にも、
本人の生活は続きます。
支払いが滞ったり、
必要なサービスの利用が進まなかったりすることもあります。
ここで、
知っていただきたいことがあります。
市町村長申立てに、
親族全員の同意が必要というわけではありません。
厚生労働省も、
親族が申立てを行う意向の確認と、
制度利用への同意は別の問題であることを示しています。
虐待などの緊急性が高い場合には、
親族への意向調査を省略できる取扱いも示されています。
大切なのは、
親族の都合だけで判断するのではなく、
本人の権利や生活を守るために、
何が必要なのかという視点です。
では、
どうすればよいのでしょうか。
私は、
支援者が一人で抱え込まず、
早い段階から関係機関で情報を共有することが大切だと考えています。
「何に困っているのか」
「今、誰がどのような支援をしているのか」
「成年後見制度が本当に必要なのか」
「申立てまでの間、どうやって生活を支えるのか」
こうしたことを具体的に整理し、
本人の意思も確認しながら、
行政と一緒に考えていく。
また、
成年後見制度だけが解決策とは限りません。
本人の判断能力や状況によっては、
日常生活自立支援事業など、
別の支援が適している場合もあります。
最近では、
市町村長申立ての重要性も一層高まっています。
最高裁判所の統計によると、
2025年に審理が終了した成年後見関係事件のうち、
市区町村長による申立ては10,139件。
申立人全体の約4分の1を占めています。
それだけ、
家族だけに頼らない権利擁護の仕組みが重要になっているということです。
ただ、
制度があることと、
必要な人が速やかに利用できることは別の問題です。
だからこそ、
地域の連携が欠かせません。
身寄りがないから、
必要な支援を受けられない。
そんなことがあってはいけません。
家族がいても、
いなくても。
その人が大切にしてきた暮らしや思いが、
できる限り守られるように。
行政、医療、福祉、法律の専門職が、
それぞれの役割を果たしながら支え合う。
そんな地域づくりに、
私もこれからも関わっていきたいと思います。