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2026.10.19

「認知症と相続」のお話です。
たとえば、
父が亡くなり、
相続人は母と長男、長女の3人。
父が残した自宅や預金について、
「自宅はお母さんに」
「預金はこう分けよう」
長男も長女も賛成しています。
でも、
お母さんには認知症があります。
こんなとき、
「家族みんなが賛成しているから大丈夫」
としてよいのでしょうか。
大切なのは、
「お母さん自身が、財産の分け方を理解して、自分で決めることができるか」
ということです。
亡くなった方の財産を、
相続人みんなで話し合って分けることを、
法律では「遺産分割協議」といいます。
これは単なる家族会議ではありません。
自分がどの財産を受け取るのかなどを決める、
大切な法律行為です。
そのため、
ほかの家族が全員賛成していても、
本人を抜きにして決めることはできません。
ただし、
「認知症=遺産分けの話し合いができない」
でもありません。
認知症があっても、
判断する力は一人ひとり違います。
大切なのは病名ではなく、
どんな財産があるのか。
どのように分けるのか。
その結果、自分は何を受け取るのか。
今回の話を理解し、
判断できる状態なのかということです。
それが難しい場合には、
必要に応じて家庭裁判所に成年後見制度の利用を申し立て、
選任された成年後見人などが本人に代わって手続に関わることが考えられます。
ここでもう一つ注意。
たとえば、
認知症の母の成年後見人を長男がしていて、
今回、母と長男がともに相続人だったら?
長男には、
「母の代理人」
「自分自身も相続人」
という二つの立場があります。
母の取り分が減れば、
長男の取り分が増える可能性もあります。
こうした場合には「利益相反」となり、
家庭裁判所に特別代理人を選任してもらうなど、
本人の権利を守るための別の手続が必要になります。
相続では、
「家族みんなが納得しているから大丈夫」
と思ってしまいがちです。
でも大切なのは、
「周りの家族が納得しているか」だけではなく、
「相続人本人が理解し、判断できているか」。
認知症のある方が相続人になったときは、
まずここを丁寧に確認する。
そして難しい場合には、
本人を置き去りにして家族だけで決めるのではなく、
本人の権利を守りながら、
適切な方法で手続を進める。
これも成年後見制度の大切な役割の一つです。
そして、もう一つ。
こうした場面を考えると、
元気なうちに遺言を残しておくことも大切です。
遺言で財産の行き先を決めておけば、
相続人みんなで「どう分けるか」を話し合わなくても済むのです。
大切な家族に、
将来できるだけ大きな負担を残さないために。
遺言には、そんな役割もあります。