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2026.09.30

家族信託をすれば、成年後見は必要ない?――そんな単純な話ではありません

今日は「家族信託」のお話。

最近、

「認知症になると財産が凍結される」

「成年後見制度を使わないために家族信託を」

といった広告を目にすることが多くなりました。

でも、

私はここを少し冷静に考えてほしいと思っています。

家族信託は、

「成年後見制度の上位互換」ではありません。

そもそも、役割が違います。

家族信託は、

元気なうちに、

自分の財産のうち必要なものを信頼できる家族などに託し、

決められた目的に従って管理・処分してもらう仕組みです。

例えば、

賃貸アパートを所有している方。

将来、

認知症などで自分で管理できなくなっても、

「修繕する」

「入居者と契約する」

「必要に応じて売却する」

といった財産管理を家族に託しておきたい。

こうしたケースでは、

家族信託が有効に機能することがあります。

一方、

成年後見制度は、

判断能力が不十分になった本人について、

財産管理だけでなく、

介護・福祉サービスや施設入所などの契約を含め、

本人の生活や権利を法的に支える制度です。

家族信託をしたからといって、

成年後見制度が担うすべてを代替できるわけではありません。

そして、

もう一つ大切なのが「受託者」です。

家族だから名前を借りればいい、

というものではありません。

大切な家族の財産を託され、

信託の目的に従って管理し、

長期間にわたって責任を負う立場です。

受託者となる方自身が仕組みを理解し、

「自分がこの役割を担えるのか」

を十分に考える必要があります。

家族信託は、

うまく使えばとても有効な仕組みです。

ただ私は、

実務の中で本当に力を発揮する場面は、

賃貸不動産の管理など、

比較的限られていると考えています。

だから、

「認知症対策には家族信託!」

という言葉だけで決めないでほしい。

成年後見、任意後見、財産管理等委任契約、遺言、そして家族信託。

それぞれできることも、

できないことも違います。

大切なのは、

「どの制度が一番優れているか」

ではなく、

「自分と家族には、何が必要なのか」

です。

専門家から勧められた場合でも、

すぐに契約する必要はありません。

費用やメリットだけでなく、

デメリットや将来の管理まで説明を受ける。

そして何より、

財産を託す家族も含めて、

しっかり話し合う。

家族信託は「認知症対策」という言葉だけで飛びつく制度ではありません。

家族みんなで冷静に考えた結果、

「ウチには、この仕組みが必要だね」

となったときに使う。

それくらい慎重で、

ちょうどいい制度だと私は思っています。