行政書士・社会福祉士
宮澤優一事務所
気軽に頼れる「老いじたく&相続」安心案内人
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ブログ
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2026.09.29

今日は少し大切なお話。
私は日々、遺言、成年後見(任意後見)、家族信託、財産管理など、さまざまな「老いじたく」のご相談を受けています。
でも、
相談に来られたすべての方に、
何らかの制度を勧めるわけではありません。
ときには、
ご本人やご家族、ご親族に将来起こり得るリスクをご説明したうえで、
「今は、何もしないという選択でも良いと思います」
とお伝えすることもあります。
世の中には、
「認知症になる前にこれを」
「相続対策にはこれを」
「今のうちに契約を」
という情報があふれています。
士業や金融機関などからいろいろ勧められ、
「結局、何をすればいいのか分からなくなりました」
と相談に来られる方もいます。
以前、
ある方について一つひとつ状況を整理した結果、
現時点では、何もしないことが最良と考えられるとお伝えしたところ、
「そんなふうに言ってくれた専門家は初めてです。安心しました」
とおっしゃいました。
ただし、
ここはとても大切です。
「何もしない」と、
「何も考えない」は、
まったく違います。
まず、
これからどんな課題が起こり得るのかを考える。
そして、
制度を使えば、何ができるのか。
費用やデメリットは何か。
使わなければ、どんなリスクが残るのか。
例えば、
将来、本人の判断能力が低下したとき、
預貯金や財産をこれまでどおり自由に動かせなくなることが考えられます。
そのときに備えて、
金融機関の代理人制度など、
事前に利用できる仕組みもあります。
それでも将来、
本人のお金から必要な費用を円滑に支払えなくなったらどうするのか。
その間の生活費や医療・介護費を、
誰が、どう支えるのか。
どうしても必要となったとき、
誰が成年後見制度を利用するための手続きを行うのか。
そのリスクまで家族や親族が理解し、
「それでも今は制度を使わない」
と納得して選ぶのであれば、
私はそれも立派な老いじたくだと思っています。
つまり、
「何もしない」は、
無策のことをいうのではありません。
課題を知り、
選択肢を比べ、
残るリスクを理解し、
そのリスクを誰がどう引き受けるかまで考え、
そのリスクを引き受けてくださる方の理解があったうえで、
「あえて今は何もしない」
と決める。
それは十分に考え抜いた一つの選択です。
お金をかけて制度を使うことが、
老いじたくの目的ではありません。
遺言書を書くことも、
任意後見契約を結ぶことも、
家族信託をすることも、
それ自体が目的ではないのです。
大切なのは、
本人が、
これから自分らしく暮らしていくために、
「本当に必要なものは何だろう」
と考える。
制度を使う必要があるなら、
その方法を考える。
お金をかけずにできることがあるなら、
まずそれを考える。
そして、
十分に検討した結果、
何もしないことが最善なら、
それも選択肢としてきちんとお伝えする。
私は、
何でもかんでも制度を勧める専門家ではなく、
「そもそも、本当にその制度を利用することが必要ですか?」
「そこにお金や時間を掛ける必要がありますか?」
というところから、
ご本人やご家族と一緒に考えられる専門家でありたいと思っています。
老いじたくは、
「何をするか」
を決めることだけではありません。
「何をしないか」を、
残るリスクまで理解したうえで、
本人が家族や親族とともに納得して決めておく。
それもまた、
大切な「老いじたく」だと思います。