行政書士・社会福祉士
宮澤優一事務所
気軽に頼れる「老いじたく&相続」安心案内人
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2026.09.29

これ、
誰が片づけるのでしょう?
これも大切な「身寄り問題」です。
厚生労働省と法務省がまとめた
「身寄りのない方が亡くなられた場合の遺留金等の取扱いの手引」。
ここには、
身寄りのない方が亡くなった場合の、
・ご遺体やご遺骨
・火葬等の費用
・残されたお金
・預貯金
・家財などの物品
などについて、
自治体がどのように対応するのかが整理されています。
たとえば、
ご遺体を引き取る方がいない場合。
身元が分かっている方であっても、
原則として死亡地の市町村が法律に基づいて火葬等を行う仕組みがあります。
一定の場合には、
亡くなった方が残したお金を
火葬等の費用に充てることもできます。
さらに残った遺留金品についても、
相続人を調査したり、
相続財産清算制度や弁済供託制度を利用したりする仕組みがあります。
では、冒頭の「冷蔵庫」は?
実は、
身寄りのない方が亡くなったからといって、
「自治体が自宅に来て、
冷蔵庫の中まで片づけてくれる」
というわけではありません。
賃貸住宅であれば、
部屋に残された家財などは、
相続や賃貸借契約とも関係する「残置物」の問題になります。
大家さんや管理会社が、
何でも自由に処分できるわけでもありません。
もちろん、
冷蔵庫の生鮮食品のように、
放置すれば腐敗してしまう物もあります。
実際、この手引でも、
自治体が法令に基づいて管理する遺留物品について、
滅失・毀損のおそれがある物の例として、
「生鮮食料品や生花」
まで挙げられています。
ただし、これは
「自治体が自宅の冷蔵庫を片づけてくれる」
という意味ではありません。
では、誰が片づけるのか。
まず、相続人による対応が考えられます。
また、生前に死後事務委任契約などで、
家財の処分や住居の明渡しなどをお願いしていれば、
その契約に基づいて受任者が対応できる場合もあります。
相続人がいない。
誰なのか分からない。
頼める人もいない。
何の準備もしていない。
そんな場合には、
冷蔵庫の中身一つでさえ、
「誰が、どんな権限で片づけるのか」
という問題になるのです。
身寄りがなくても、
亡くなった後のことが、
まったく何も進まないわけではありません。
法律上、対応するための仕組みはあります。
でも、
「法律上、処理する仕組みがあること」と、
「自分が望んだように整えてもらえること」
は、同じではありません。
葬儀はどうするのか。
お墓や納骨はどうするのか。
残された家財をどうするのか。
電気・ガス・水道・携帯電話などの契約はどうするのか。
未払いの入院費や介護費はどうするのか。
土地や建物はどうするのか。
大切な人に何を伝えてほしいのか。
こうした一つ一つまで、
自治体が本人の希望に沿って実現してくれる制度ではありません。
だからこそ、
身寄りがない方や、
家族・親族がいても頼ることが難しい方は、
元気なうちに、
「自分が亡くなった後、
誰に、何をお願いしたいのか」
を考えておくことが大切です。
必要に応じて、
遺言や死後事務委任契約などを組み合わせて、
あらかじめ備えておく方法もあります。
身寄り問題というと、
入院や施設入所の「身元保証」が注目されがちです。
でも、それだけではありません。
その人が暮らしていた家。
冷蔵庫の中身。
家具。
電気や電話の契約。
お墓。
そして、残された財産。
家族がいれば、
誰かが当たり前のようにやっていること。
その家族がいなかったら、
誰がやるのか。
その人が人生を終えたあと、
その暮らしを、
最後に誰が閉じるのか。
そこまで考えておくことも、
大切な「老いじたく」だと私は思っています。