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2026.10.29

【本人が「買いたい」と言っている。それでも後見人は止めるべき?】

今日は「本人の意思を尊重する」というお話です。

先日の認知症サミットでも、こんな場面についてお話ししました。

認知症のある方が、

「この健康食品を買いたい」

と言っています。

でも、かなり高額。

後見人から見ると、

「それ、本当に必要かな……」

と思う。

こんなとき、後見人は止めるべきでしょうか?

まず大切なのは、

「認知症だから」

「後見人が必要ないと思うから」

という理由だけで、

本人の希望を否定しないことです。

成年後見制度では、本人の意思を尊重することがとても大切です。

意思決定支援のガイドラインでも、

すべての人には自分のことを決める力があることを前提に、

必要な情報を分かりやすく伝え、

本人が自分で決められるよう支援することが基本とされています。

しかも、

「私だったら、そんなものは買わない」

という後見人自身の価値観を、本人に押しつけてはいけません。

一見すると不合理に見える選択でも、それだけで本人に決める力がないとは判断できない。

これも大切な考え方です。

では、

「本人が買いたいと言えば、何でも買っていい」

のでしょうか。

それも違います。

たとえば、

本当に内容を理解しているのか。

生活費までなくなってしまわないか。

繰り返し購入させられる心配はないか。

悪質な勧誘ではないか。

そして、

量を減らせないか。

もっと安い商品はないか。

一度だけ試してみる方法はないか。

本人と一緒に選択肢を考えながら、

本人の希望をできるだけ実現し、

リスクを小さくする方法を探す。

それでも、

本人にとって見過ごすことのできない重大な影響が生じる可能性が高い場合には、

本人の意思だからと、そのままにするのではなく、

より慎重な検討が必要になります。

ガイドラインも、

意思決定支援と後見人による代行決定を区別し、

代行決定は最後の手段と位置づけています。

本人の意思を尊重することは、

「本人の言うとおりにすること」

と同じではありません。

でも、

「本人のためだから」と、

周りが先回りして決めてしまうことでもありません。

まず本人の思いを聞く。

できる方法を考える。

危険があれば、

どうすれば小さくできるかを一緒に考える。

私は、この過程そのものが

「本人の意思を尊重する」

ということなのだと思います。

後見人は、

本人の人生を「代わりに決める人」ではなく

本人が自分の人生を歩むための

「伴走者」でありたい。

先日の認知症サミットでも、

皆さまにお話しをしながら、

そんなことを改めて考えました。