遺産分割協議が終わった後に遺言書が出てきたら

既にまとまった遺産分割協議が無効になる場合もあります

亡くなった方の葬儀や法要を慌ただしく終えると、今度は相続手続きを進めなければなりません。
相続手続きは、まず亡くなった方が遺言書を残しているかどうかの確認から始まります。

遺言書が残されていれば、その遺言書の内容に従って相続手続きを進めます。
遺言書が残されていなければ、相続人全員が集まって遺産分割協議を行い、相続人全員が合意した内容で相続手続きを進めます。

参考記事⇒「相続手続きはどのように進めたら良いか」
参考記事⇒「相続手続きの第1段階は、遺言書があるかないかの確認」

さて、ようやく相続人全員が集まって、遺産分割協議がまとまったとします。
ところが、その後になって亡くなった方が残した遺言書が出てきた!

この時、既に相続手続きを終えているとしたら、どのように対処したら良いのでしょうか。
遺産分割協議は無効になってしまうのでしょうか。

遺産分割協議の後に遺言書が出てきた場合の相続手続き

出てきた遺言書が「自筆証書遺言」なら、家庭裁判所で「検認」の手続きが必須です

自分で書いた遺言書を「自筆証書遺言」といいます。
この「自筆証書遺言」は、その遺言書を書いた方が亡くなった後に、家庭裁判所で「検認」という手続きを経なければ、相続手続きに使うことはできません。

参考記事⇒「自筆証書遺言は、そのままでは使えません!~遺言書の検認~」

もし、遺言書を発見した相続人が検認の手続きをしなかったり、遺言書を勝手に開封すると、5万円以下の過料に処せられます。
また、発見した遺言書を破り捨てたり隠したりすると、その人は「相続欠格」といって、相続人になることができなくなります。

これは、遺産分割協議の後に遺言書を発見した場合であっても同じです。
ですから、遺言書が出てきたのであれば、遺産分割協議の前であれ後であれ、必ず家庭裁判所で「検認」の手続きをしなければいけません。

出てきた遺言書が「公正証書遺言」なら、「検認」の手続きは必要ありません。

遺言書の検認

遺言書の内容によって、対処方法が違います

遺産分割協議がまとまった後に遺言書が出てきた場合、その遺言書の内容によって対処方法が違います。
以下に、遺言書の内容別に対処方法を説明します。

なお、その遺言書が「法的に有効」なものであることが前提です。
自筆証書遺言は法律で決められた厳しい要件を満たして、初めて有効とされます。
ひとつでも要件を満たしていなければ、その遺言書は「法的に無効」となります。

当然ながら、出てきた遺言書が「法的に無効」なものであれば、既にまとまっている遺産分割協議が有効となります。

1.遺言書の内容が、「財産を特定の人に相続(遺贈)させるもの」であった場合

この場合、遺言書の内容が優先され、相続財産は遺産分割の対象とはなりません。
どういうことかというと、亡くなった方が「相続財産を遺言書のとおり分けてくれ」と書いてあるわけですから、そもそも相続人同士が話し合い(遺産分割協議)を行って分け合うものではないということです。

ですから、この場合、既にまとまっている遺産分割協議は、原則として無効となります。

しかし、その遺言書で財産を受け取ることとなっている人が、「遺産分割協議でまとまった内容のとおりで良いです。」と納得した場合には、既にまとまっている遺産分割協議は無効にはなりません。
この場合は、遺言書は無かったものとして、相続人全員の話し合いでまとまった遺産分割協議のとおり財産が分けられます。

2.遺言書の内容が「相続人の廃除」「廃除の取消し」であった場合

「相続人の廃除」とは、亡くなった方の意思で、非行や亡くなった方に対して侮辱をしたり虐待をしていたような相続人から、相続の資格を剥奪する制度です。

「相続人の廃除」または「廃除の取消し」の手続きは、家庭裁判所に対して請求を行います。
この請求は、「生きている間に自分自身で行う方法」と「遺言書によって行う方法」の2つがあります。
遺言書に「相続人の廃除」「廃除の取消し」が書かれていた場合、遺言執行者が家庭裁判所に請求を行います。

この請求が認められれば、その対象となった相続人は相続の資格を失います。
つまり、相続人の関係に変動が生じることとなります。

遺産分割協議は、相続人全員が参加して、その相続人全員の合意が必要です。
遺言書によってある相続人が廃除されたとなれば、相続人が変動するということですから、既にまとまっていた遺産分割協議は「無効」ということになります。

3.遺言書の内容が、「子どもの認知」である場合

遺言書によって「子どもの認知」を行うことができます。
子どもを認知することによって、相続人が増えることになります。
つまり、相続人の関係に変動が生じることとなります。

しかし、上記「相続人の廃除」等の場合と違い、既にまとまっている遺産分割協議は「有効」です。

その代わり、認知によって相続人となった者から遺産の分割を請求された場合、その他の相続人は、その認知によって相続人となった者の相続分に相当する金銭を支払う必要があります。

遺言書の内容によって、対処方法が違う

遺言書が残されているかどうかは、遺産分割協議の前にしっかり確認しましょう

上記のとおり、遺産分割協議の後に遺言書を発見した場合、遺言書の内容によっては、せっかくまとまった遺産分割協議も「無効」となってしまう場合があります。

ですから、遺産分割協議の前に、遺言書が残されているかどうかをしっかり確認しましょう。

なお、「公正証書遺言」が残されているかどうかは、公証役場の「遺言検索システム」を利用すればすぐに調べることができます。

参考記事⇒「遺言書が見つからなかった場合に探して欲しい公証役場」

遺言書が残されているかどうかは、遺産分割協議の前にしっかり確認

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