自筆証書遺言の作り方

自筆証書遺言は、自分ひとりで手軽に作成することができます。

手軽に自分ひとりで作れるのが自筆証書遺言の最大の長所です。
その反面、法律で決められた方式に反した作り方をしてしまうと、遺言書が無効になってしまうという危険が、自筆証書遺言にはあります。

もし、残した遺言書が無効となってしまったり、無効にはならなくても「これは無効なんじゃないか。」という疑いが出てしまうと、相続トラブルの元になってしまいます。
自筆証書遺言を作る際には、法律的に問題がないように細心の注意を払う必要があります。

以下に、作り方のルールを記します。
なお、自筆証書遺言を法律の要件を満たして正確に残すことは意外と難しいものです。
書き上げたら、行政書士等の専門家に確認を依頼して、間違いが無いかチェックしてもらうことを強くお勧めいたします。

①文章の全てを自筆で書くこと

遺言者が、遺言に書く全ての文章を自分で書かなければいけません。
手の自由が効かない場合には、口などで書いても構いません。
要は、「全てを自分で書く」ことが必要なのです。

筆記具は何を使っても構いませんが、やはり万年筆やボールペンなど、消えないものが良いでしょう。
鉛筆や最近よく見かける消せるボールペンなどは、文字が消えてしまったり改ざんされてしまう危険がありますから、遺言書という大変重みのある文書を書くには適していません。
紙は市販されている普通の便箋で構いません。

「全てを自分で書く」必要がありますから、次のような遺言書は法律的には無効となってしまいます。

  • パソコンで作成したもの
  • 他人が代筆したもの
  • ICレコーダーなどに録音したもの
  • ムービーなどで録画したもの

たとえ一部分であったとしても代筆は許されません。
そうすると、例えば病気のために手が震えてしまうとか、手が動かせないために文字が書けないといった場合にはどうしたら良いのでしょうか。
実際の裁判で示された判例によれば、「遺言者の手の震えを抑えるために、他人が遺言者に手を添えて書いた遺言書」について、有効としたものと無効としたものがあります。
結論が分かれているわけです。

つまり、いずれの結果であったとしても、自分の力で文字を書くことが困難であったり、不可能であるような状態で遺言書を残すと、「この遺言書は本当に本人が書いたのか。」という疑問を持たれてしまい、トラブルに発展する元となる可能性があるということです。
ですから、そうした状態の方は、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を残した方が良いでしょう。

自筆証書遺言の作り方

②遺言書を作成した日付を自筆で書くこと

遺言書を作成した日付も、確実に自分の手で書かなければいけません。
たとえ、法律的な要件を満たした内容の遺言書であっても、付が記されていなかったり、日付が記されていたとしても日が特定できないような書き方をしている場合、その遺言書は無効となってしまいます。
遺言書の日付というのは、その遺言書の成立を確定するために不可欠なのです。

例えば認知症に罹ってしまった方がお亡くなりになった時、その方が遺言書を残していた場合、その「遺言書がいつ作られたものなのか」はとても大切な要素になります。
もし、「認知症と診断された後に作られた遺言書」だとしたら、その遺言書は果たして有効なのだろうかという疑いがかけられることとなるからです。

また、もし複数の遺言書を残していた場合、一番新しい日付のものが有効となり、古い遺言書の内容が新しい遺言書の内容とバッティングするような場合、古い遺言書の内容は無効となります。
このように、日付は遺言書にとって大変重要な意味をもちますから、日付も自分で書き入れなければいけないのです。

参考までに、次のような日付の書き方は無効とされています。

  • 「平成27年5月」というように、年月だけで日の記載がない。
  • 「平成27年5月吉日」という書き方

「私の還暦の日」というような書き方を有効とした事例もありますが、疑義を生じさせないよう普通に「平成27年5月1日」といった形で書いた方が良いでしょう。

遺言書の日付

③自分の氏名を自筆で書くこと

戸籍上の氏名を正確に書きましょう。
漢字にも注意を払い、「沢」「澤」、「高」「髙」なども正確に書きましょう。

遺言者が誰であるのかが特定できれば問題ないので、ペンネームや芸名などでも差し支えないのですが、いざその遺言を実現させる(遺言を執行する)時に、本人特定が難しくなり余計な手間と時間が掛かります。
ですから、遺言書には戸籍上の氏名を正確に書きましょう。
氏名が自筆で書かれていない遺言書は無効になります。

遺言書には氏名を自筆する

④印鑑を押す

遺言書が間違いなく遺言者の意思によって作られたものであることを明確にするために印鑑を押す必要があります。
法律上は、認印でも実印でもどちらでも良いことになっています。

しかしながら、自筆証書遺言というのは信頼性が薄く、「本当に本人が自分の意思で書いたものなのか。」という疑いを持たれやすいものですから、間違いなく自分の意思で書き残したんだという信頼性を高めるためにも、実印を押した方が良いでしょう。

もし、印鑑登録をした印鑑をお持ちでなく、急ぎで遺言書を書き残したいという場合には、銀行の預金通帳などに用いている印鑑を使うというのも、遺言書の信頼性を少しでも高めるためのひとつの工夫です。

相続分のないことの証明書

⑤書き間違えた時の訂正

遺言書は、訂正方法も法律により定められています。
それ以外の方法で訂正された遺言書は無効となります。

その方法というのは複雑で、次のような方法で訂正しなければなりません。

  • 遺言者が訂正する場所を指示する。
  • そこを訂正した旨を、付記して署名する。
  • その訂正場所にも印鑑を押す。

ですから、修正ペンを使ったり、通常行われているような二重線と訂正印を用いた訂正をしてしまうと、その遺言は無効となってしまいます。
訂正方法は複雑ですから、もし遺言書を書き損じてしまったような場合には、手間でもその遺言書は破り捨てて、新たに最初から書き直した方が良いでしょう。

遺言書の訂正

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